海外からこられた外国人観光客に観光案内をしたいという方が増えています。
報酬をいただいて観光案内をする又はボランティアで観光案内をするに分けて説明します。
・全国通訳案内士として報酬をいただいてガイドする。
・地域通訳案内士として報酬をいただいてガイドする。
・フリーの立場で報酬をいただいてガイドする。
・ボランティアでガイドする。
全国通訳案内士を名乗り、ガイドをするには?
全国通訳案内士という名称を名乗り、報酬やガイド料金をいただいて観光のご案内をするためには、国家資格が必要です。外国語のみならず、日本の地理や歴史、文化など幅広い知識が必要とされます。
国家試験に合格した後、都道府県知事の登録を受けます。
全国通訳案内士とは
通訳案内士法において「報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて旅行に関する案内をすることをいう)を業とする」とされています。
全国通訳案内士試験(国家試験)
試験は1年に一度。2020年度の場合を例にとると筆記試験が8月16日、その合格者が受験できる口述試験が12月13日でした。
試験科目は以下の通りでした。
・外国語
・日本地理
・日本歴史
・産業・経済・政治及び文化に関する一般常識
・通訳案内の実務
※ある一定の基準を満たせばその科目が免除されます。
例えば外国語(英語)の受験を例にとると、実用英語技能検定1級の合格者及びTOEIC900点以上保持者は申請により英語の筆記試験が免除されます。(2020年度の情報)
面接
▼詳しくはコチラのページでご確認下さい。
日本政府観光局(JNTO)通訳案内士試験概要
地域通訳案内士って何?
まずは全国通訳案内士と地域通訳案内士の違いから説明しましょう。
全国通訳案内士は、上記で説明した通り、国家資格です。「通訳案内士」という名前を名乗り報酬を受けてガイドをすることができます。
地域通訳案内士は、その名前を名乗り地域の限られた範囲で報酬を受けてガイドをすることができます。
募集や研修など各自治体が独自に行っています。募集要件は自治体により異なりますが、英語の場合は英検やTOEICの点数が目安とされています。
全国通訳案内士・地域通訳案内士の肩書を使わずにガイドする
2018年1月に通訳案内士法が改正され、全国通訳案内士の資格を持っていなくても有料でガイドをすることができるようになりました。
※ただし、全国通訳案内士と間違えられそうな類似した名称を名乗ることはできません。
国家資格を持たずに個人で観光ガイドを始める場合、集客が問題となります。最近は、ネット上にマッチングサイトが増えてきていますので、それに登録するといいですね。
有名なのはAirbnbの体験部門です。Airbnbは「ガイド」という言葉を使わずに「体験ホスト」と呼びます。
ボランティア観光ガイドになるためには?
外国語を使ってボランティアで観光ガイドをするに限っては、特に資格は必要ありません。
ただ土地勘や最低限の語学力が必要となります。
日本文化を英語や他の外国語で紹介する知識も少なからず必要です。
いつどんな質問がとびだすかわかりません。
ボランティア観光ガイドのための英語のレベルはどれくらい必要?
ボランティアガイド組織のホームページをのぞくと英語でガイドをする場合、「英検2級程度以上の英語力がのぞましい」と書いてある場合があります。
私の経験から思う個人的意見ですが、中学卒業レベルの英語ができれば大丈夫だと思います。ただ「中学卒業レベル」という言葉がくせものです。
中学3年間で学んだ英語が、聞けて、書けて、話せるレベルっていうことです。私は数年前に「中学生レベル」を甘くみていて勉強しなおした口です。
ちなみに森沢洋介先生のどんどん話すための瞬間英作文トレーニング という本がこなせれば中学レベルの英語がOKだと思っていいと思います。
ちなみに若かりし頃に京都のホテルのフロントで毎日英語をしゃべっていた私、ブランクがあったとはいえやりなおし英語を始めた頃は中学2年生レベルでさえもタジタジでした。
善意通訳(GG=Goodwill Guide)グッドウイル・ガイドに登録する
日本政府観光局(JNTO)のグッドウイルガイド(Goodwill Guide)に登録するといいでしょう。日本政府観光局は「善意通訳普及運動」を提唱、推進されています。
善意通訳普及運動とは?
町なかや駅、車中などで言葉通じず困っている外国人旅行者を見かけた際に、語学力を活かして積極的に手助けするなど、外国人旅行者の言葉の上での困難や不便の解消を目指すという趣旨の一人一人のボランティア精神の普及運動です。
日本政府観光局ホームページより引用
この運動の趣旨に賛同し登録すると、意思表示の印として「善意通訳カード(グッドウイルガイドカード)とバッチ」が交付されます。私も登録しています。
町なかで活動を行なう場合、必要に応じてこのカードを提示することができます。
善意通訳組織(SGG=Systematized Goodwill Guides)に所属する
一口にボランティア観光ガイドと言っても活動の形態は様々です。すぐにでも活動を始めたい方は地域の団体に所属するといいと思います。
グッドウイル・ガイドとして登録されている方々が団体組織で活動されている、SGG(Systematized Goodwill Guides)というボランティア組織が日本全国に88団体あります。(2016年7月現在情報)
■全国のSGG組織の一覧はコチラ(SGGのない地域もあります)
たとえば奈良市の場合は以下のボランティア団体があります(一部を掲載)
■奈良ボランティア通訳ガイド
奈良S.G.Gクラブ
奈良YMCA善意通訳ガイド(EGG)
NPO法人奈良外国語観光ガイドの会
公益社団法人 奈良市観光協会公式ホームページより
団体によっては、勉強会参加が義務付けられていたり、登録の際に英語のレベルが設定されていることもあります。選考に受からないと所属できないところもあるようです。
また月に4回以上活動できる方という指定があったりもします。自分が活動しやすいグループを見つけられるといいですね。
小さな活動グループを探す
私は「京都フリートラベル」という個人運営のサークルに登録しています(2021年現在活動を停止されています)
このグループの活動場所は通常京都ですが、奈良を訪れる予定のゲストがガイドを希望される場合に連絡をいただいており、可能な限りお受けするようにしています。
何度かガイドをさせてもらうと、紹介や推薦などでご指名をいただくこともでてきました。
このサークルに登録した事がきっかけで、仲の良いボランティアガイド仲間ができました。
団体やサークルに所属すると、ボランティアガイドとしての活動の場が得られるだけでなく、一緒にがんばる仲間もできます。
励ましあいながら活動ができ、語学の勉強を続けるモチベーションが得られます。
英語イベントや英語のツアーに参加する
たまたま知り合って意気投合し、観光ガイドをして差し上げるという体験も「ボランティア観光ガイド」のひとつです。
ボランティアガイド組織に登録するのはハードルが高いという方は、外国人観光客が多く参加する英語ツアーやイベントに参加するのも一つの手です。
プロのガイドさんの英語ツアーを経験すると多くの事が見えてきます。
参加料金が必要ですが、手軽なものだと1000円くらいからでもありますよ。
ただし積極的にしゃべりかける度胸が必要です。お友達になり、次の日に観光案内なんてことになるかもしれません。
ローカルな日本人と知り合いたいと思っておられる外人観光客の方は意外に多いと思います。
外国人向けのツアーに参加する時に気をつけること
ゲスト(観光客)は私たちの英会話の練習台ではありません。同じツアー参加者同士のあいさつ、雑談という感じから入りましょう。
ツアーはウオーキングツアーを選ぶと参加者みんなが仲良くなりやすいですね。日本人のツアーに参加する時に誰かと自然に仲良くなる、それと同じ事です。
私は「クール京都ウオーキングツアー」に参加し、二人のアメリカ人と友達になり、京都と大阪をご案内する機会を得ました。
フェイスブックで連絡を取り合い、そのうちの一人とは既に3回再会を経験し、親友のレベルまでなりました。
彼女の友人知人を奈良ガイドしたりと輪がどんどん広がっています。「英語が話せると世界が広がる」まさにその通りだと思えるようになりました。
▶外国人向けツアーへの参加体験談。
クール京都ウオーキングツアー参加レポートはコチラ
▶英語ツアーで知り合った外国人観光客の方にガイドした体験談。
アメリカ人女性と京都&大阪 英語ボランティアガイドレポート
▶ボランティアガイドの体験談
ボランティア観光ガイド(通訳ガイド)の事をあれこれ綴っています。
英語でガイドをするための学習教材
プロにしろ、ボランティアにせよ、外国の方に観光ガイドをする時は日本の代表として接する気持ちが大切だと感じています。
日本に関しての知識とそれを英語で説明するための学習教材のおすすめです。順次追加していきます。
★JGA 日本観光通訳協会
通訳案内業務や全国通訳案内士試験向けの参考書の紹介ページはコチラ